小説「フリーメディスン」のためのメモ ※随時更新


●残された時間
昨夜は、ベッドに倒れこむと同時に眠りに落ちた。いいことだ。不安で眠れないことに比べればずっといい。
今日も治療法を実践していく。今朝は、臨床段階にある医薬品のレシピをダウンロードして、先走ったジェネリックを作ってみよう。
医薬品の研究者でも、学生でもない僕が、医薬品の研究に励んでいるのは、僕自身が患者だからだ。僕の病気は僕が治す。間に合うものならば。すでに、僕の手足の可動範囲は狭くなってきている。
僕の病名のヒント。僕は生まれつき足の親指が曲がり、短く大きな爪先をしていた。これだけで専門医なら答えがわかる。僕はFOP(進行性骨化性線維異形成症)にかかっている。国が認めた難病で、わかりやすく言うと、全身がだんだん固くなって骨に変わる病気だ。
僕を含めFOPにかかった人は、ACVR1と呼ばれる遺伝子の一部に不具合がある。
ACVR1遺伝子は、1型骨形成タンパク質受容体の一種である1型アクチビン受容体を作るための情報を持っている。FOPでは、変異によって、ACVR1タンパクの第206残基がヒスチジンからアルギニンに置き換わっている。これによって血管内皮細胞が間葉幹細胞に形質転換(EndMT)し更に骨になる異常が起きやすくなる。
FOPは突然変異による患者が多い。僕以外の家族はFOPにかかっていない。

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